AI活用・組織づくり
DifyとGASはどう使い分ける?業務効率化を止めない設計の判断基準
DifyやGoogle Apps Scriptで業務効率化を進めたい責任者向けに、定型処理とAI判断の役割分担、組み合わせ方、承認・監視まで含む運用設計の基準を解説します。
こんな方へ:DifyやGoogle Apps Scriptを導入したいものの、どの業務をどちらに任せ、どこに人の確認を残すべきか判断できていない業務改善・DX責任者。
この記事の要点
- GASは決まった条件を正確に繰り返す処理、Difyは文章の要約・分類・生成など判断補助に向く
- ツールより先に、目的・判断の揺れ・誤りの影響・運用責任者を決める
- GASで受付と実行、Difyで判断補助、人が承認する構成から小さく検証する
DifyとGoogle Apps Script(以下、GAS)は、どちらか一方を選ぶ競合ツールではありません。業務効率化を安定して続けるには、決まった条件を正確に繰り返す処理をGASへ、文章の要約・分類・生成など正解が一つではない処理をDifyへ分け、誤りの影響が大きい場面には人の確認を残します。
重要なのは、先にツールを選ぶことではなく、業務のどこで時間やミスが発生し、どの判断まで自動化してよいかを決めることです。便利な機能をつないでも、例外時の対応、権限、監視、修正する担当者が曖昧なら、担当者が変わった途端に止まります。
DifyとGASの違いは「処理」か「判断補助」か
GASが向く業務
GASは、Google スプレッドシート、Gmail、Google ドライブなどGoogle Workspace上のデータを扱い、決まった条件で転記、集計、通知、ファイル作成を行う処理に向きます。編集やフォーム送信、時刻などをきっかけに処理を動かすこともできます。
たとえば、フォーム回答を顧客一覧へ追加する、期限が近い案件を担当者へ通知する、定型フォーマットの資料を作る、といった業務です。入力項目と出力が明確で、同じ条件なら同じ結果を期待する処理では、生成AIを挟まない方が安定し、確認もしやすくなります。
Difyが向く業務
Difyは、LLMを利用したワークフローを構成し、自然言語の入力から要約、分類、情報抽出、文章生成などを行う場面に向きます。条件分岐や外部ツールとの接続を組み合わせ、AIが担当する工程を業務フローとして可視化できます。
たとえば、問い合わせ文から要件を抽出する、商談メモを決めた項目で要約する、社内資料を参照して回答案を作る、といった用途です。ただし、AIの出力には揺れがあるため、顧客への送信、契約判断、金額変更などをそのまま自動実行させる設計は慎重に扱います。

自動化する前に決める4つの項目
1. 何を改善するか
「AIを使う」ではなく、転記時間を減らす、入力漏れを防ぐ、初回確認を早めるなど、対象となる問題を一つに絞ります。開始前の作業時間、件数、差し戻し数などを記録しておくと、導入後の変化を確認できます。
2. 判断に解釈が必要か
入力と条件が決まれば答えが一つになる処理はGASを中心にします。一方、自由記述から意図を読み取る、長文を要約する、文案を作る処理はDifyの候補です。一つの業務にも両方が含まれるため、工程ごとに分解します。
3. 間違えたときの影響は何か
誤分類を後から直せるのか、顧客へ誤送信されるのかでは、必要な制御が異なります。影響が大きい工程には承認を置き、一定条件を満たさない場合は処理を止めます。個人情報や機密情報を扱う場合は、入力範囲、保存先、アクセス権も先に確認します。
4. 誰が運用するか
自動化には、エラーの確認、認証の更新、仕様変更への対応、出力品質の点検が必要です。開発者だけが分かる状態を避け、処理の目的、入力元、実行条件、停止条件、連絡先を記録します。GASには実行時間や各種サービスの割当・上限があり、超過時には例外で停止するため、実行履歴と失敗通知も設計に含めます。

DifyとGASを組み合わせる基本形
両者を組み合わせる場合は、GASで入力を揃え、Difyで判断を補助し、人が承認し、GASで実行と記録を行う流れが基本になります。
仮の例として、営業日報の整理を考えます。GASがスプレッドシートの新規入力を受け取り、必須項目を確認します。Difyが自由記述を要約し、顧客の状態や次の行動の候補を出します。担当者が候補を確認・修正した後、GASがCRMへの登録や通知を行い、処理結果を残します。
この構成なら、AIが得意な言語処理を利用しつつ、誤った提案がそのまま顧客対応へ進むことを防げます。承認で毎回ほぼ同じ修正が発生するなら、プロンプト、入力項目、分類基準を見直します。人の確認を単なる負担と捉えず、運用品質を改善するためのデータとして使います。

小さく始めて、時間だけでなく品質も測る
最初は、件数が把握でき、失敗しても業務影響を限定できる一つの工程から始めます。一定期間、処理件数、削減時間、エラー数、手修正の回数、処理後に次の行動まで進んだ割合を記録します。期間、母数、対象条件を揃えないまま、導入前後の印象だけで評価しないことが大切です。
自動化に向かないのは、手順自体が固まっていない業務、例外が大半を占める業務、入力データが欠けている業務、誤りの影響が大きいのに承認者を置けない業務です。この場合は、先に業務手順や入力ルールを整えます。
自社で進める場合も、対象業務、担当者、停止条件、評価指標を一枚に整理すれば小さな検証は可能です。複数部門をまたぐ、顧客データと連携する、権限や監査が必要、DifyとGASの責任範囲を決めにくい場合は、業務設計から相談することで手戻りを減らせます。MANAGEWORKSでは、効率化する作業だけでなく、顧客への価値、組織の運用ルール、研修と定着まで一貫して整理します。